蓄電池の歴史について

蓄電池(二次電池)とは、充電することで繰り返し使用ができる電池で、化学反応により電気エネルギーを蓄え、保守が容易であり、自動車やモバイル機器、産業用機器まで広く用いられています。
蓄電池の歴史は古いですが、電気を貯めて使用するという方法は中々見つからず、日本だと江戸時代頃に世界初の蓄電池が発明されていました。

今回は蓄電池の歴史を解説致します。

 

世界初の蓄電池発明

科学者たちが「発生させた電気を溜める方法」を模索している中、オランダのライデン大学教授であるミュッセンブルークは、水の中に電気を溜められないかと考えました。試行錯誤の末、ガラス瓶を水で満たし、真鍮の棒を入れると電気エネルギーを保持することを発見し、1746年、ミュッセンブルークは世界初の蓄電地である「ライデン瓶」を発明しました。帯電後、人間が棒の先に触れると、ものすごく強い静電気が流れ、ミュッセンブルークも実験中に触ってしまい、腕、肩、胸に意識を失うほどの衝撃を感じて、丸2日間痛みが残ったと記録が残っています。
ミュッセンブルークの実験装置は、複数の科学者たちが改良を重ね、蓄電能力を高めるため瓶の内・外側の両方に金属箔を巻き、1747年頃には瓶の中の水が不要となり、現在も静電気の実験学習で使われているライデン瓶が完成しました。
驚くことに、ライデン瓶を発明したわずか5年後に摩擦起電機とライデン瓶を組み込んだ箱型の装置「エレキテル」が、オランダ人から江戸幕府に献上され、 1770年には平賀源内が壊れたエレキテルの修復に成功しました。

その後、蘭学者の橋本宗吉が自らエレキテルを製作して、寺子屋の子どもたちに手をつながせ、通電させて「百人おどし」として知られるようになりました。電気を溜めたり放出したりする電子部品でコンデンサやキャパシタなどの「蓄電機」は欠かせないが、ライデン瓶はその原型とされています。

 

様々な二次電池の発明

二次電池と言っても様々な種類がありますが、今回は現代でも活躍をしている鉛蓄電池とリチウムイオン電池の発明の至った歴史をご紹介致します。

鉛蓄電池は、1859年フランス人の科学者ガストン・プランテが世界最初の二次電池として発明した歴史ある二次電池技術です。発明した技術は、2枚の薄い鉛板の間に2本のテープ(ゴム帯)を挟み円筒形に巻き込んで、希硫酸を用いた電気化学反応によってエネルギーを蓄える仕組みとなっています。プランテの電池を基にし、様々な改良が加えられ、1881年、カミーユ・アルフォンス・フォーレが、酸化鉛の粉末を硫酸で練り、ペーストにした物をプレスして加熱することでスポンジ鉛のプレートを製造する方法で「ペースト式極板電池」を発明しました。長い寿命と低温環境への強さ、自己放電の少なさや制御の容易さ、メモリー効果(継ぎ足し充電をすることで最大蓄電容量が減ってしまうこと)がないといったメリットがあるので、自動車のエンジン始動や産業用途に広く用いられてきました。

しかし、環境問題に対する関心の高まりやリチウムイオン電池などの新技術の登場で、鉛蓄電池の使用は減少傾向にありますが、それでも、鉛蓄電池は信頼性と安定性に優れているので非常用電源や太陽光発電システムなど特定の分野で今後も活躍が見込まれています。鉛蓄電池は、古い技術ではありますが、新しい技術と並行して現代社会に貢献し続けています。

自動車において主流な二次電池と言えば鉛蓄電池でしたが、現在では、EVの普及に伴って、リチウムイオン電池の方に注目が集まっています。高いエネルギー密度を持つリチウムイオン電地は、EVの動力源として欠かすことのできない存在です。

リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池を越えるエネルギー密度を持つ電池として登場し、1991年にソニー・エナジー・テックが世界で初めて商品化しました。リチウムイオンが電極の間を移動することで充電・放電を行う仕組みとなっており、小型かつ蓄電容量が多く、さまざまな電子機器・電気機器に使用され、貢献しています。最近では、電動工具や、電動アシスト自転車、電気自動車のように、高出力タイプのアプリケーションへの搭載も進んでいるため、リチウムイオン電池の需要は更に拡大を続けています。

鉛蓄電池は、重量とエネルギー密度の低さからEVの主動力源にこそ適していないが、電子機器を動かす補助電源として用いられており、バッテリー問題発生時の緊急バックアップ電源として機能させ、車両の基本的な機能を維持することも可能です。リチウムイオン電池がEVの主力となっている一方、鉛蓄電池もまたEVのシステムに不可欠な部分を担っています。

 

まとめ

今回は蓄電池の歴史について解説しました。
日本では、1895年に島津製作所の2代目島津源蔵が初めて蓄電池の試作に成功し、現在では自動車用の鉛蓄電池で国内トップシェアを誇るGSユアサになっています。電池や蓄電池は長い時間をかけて進化を繰り返しています。現在はリチウムイオン電池が主流ですが、今後新しい蓄電池の開発があれば、何か変化が起こるかもしれないですね。

これからの蓄電池の歴史が楽しみです。

 

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