プレス加工とは、塑性加工の1つで、金属の板材に圧力を加え材料を金型の形にする加工方法です。
1回のプレス加工にかかる時間は2~3秒程で、小さな部品では1分間に数百回ものプレス加工が可能で大量生産の工業製品にはかかせません。
今回はそのプレス加工についていくつかご紹介させて頂きます。
プレス加工の種類
プレス加工は、大きく分けると特徴や用途が異なる加工方法が5つあり、「せん断加工」 「曲げ加工」 「絞り加工」 「成形加工」 「圧縮加工」の5種類があります。
せん断加工
「せん断加工」とは、上下一対の金型を使用して、板材、線材、棒材と言った材料を切断する加工方法です。
強烈な圧をかけることで金属を切断する仕組みとなっていて、プレス加工のなかでも特にメジャーな方法で大量生産に向いています。「曲げ加工」は、金属の塑性を利用して圧力を加え、曲げながら金型に沿った形に成形する加工方法です。ほとんどの場合、ダイとパンチからなる「ベンダー」という曲げ加工機を使用し、ベンダーの種類によって様々な形に金属を曲げられるのが特徴です。技術者の高いスキルが求められる加工方法です。
絞り加工
「絞り加工」とは、1枚の金属の薄板から円筒、角筒、円すいなどの様々な形状の凹形の容器を作る加工方法です。プレス加工でもっとも難しいとされる絞り加工は、成形加工品につなぎ目が無いことが特徴です。
一枚の板状の金属に一定方向から圧力を加えて変形させ、力を取り除いた後も変形が残る材料の性質を使って、成形します。一回に絞れる径や深さには限界があるので、最終形状になるまで作業を繰り返し行う場合があります。
成形加工
「成形加工」は、ただ形を変化させるだけでなく、強度向上や部品取り付けをしやすくする際にも用いられる加工方法です。素材の一部を取り除いたり材料を付け加えたりすることなく、圧力や熱などを加えて金属素材の変形・成形を行うのが特徴です。目立たない部分の加工がメインとなります。
圧縮加工
「圧縮加工」は、強い圧力をかけて熱を加えながら圧縮することで変形させる加工方法です。圧縮加工の主な種類として、金属を削らず、叩いて伸ばしていく「スウェージング」、マーキングを行う「刻印加工」、硬化のような表裏で異なる模様を持った金属に加工する「コイニング」などがあります。
プレス加工が使用されている製品
プレス加工は、日常生活に欠かせない製品の多くで使用されています。その中でも代表的なのが自動車の部品加工です。一枚の長い鉄板をカットし、プレス加工することで車のドアやボディそしてボンネットなど、様々な部品が作られています。
その他にも、エアコンや冷蔵庫などの大型家電や電子部品、そして第一金属工業が作っている電池の円筒缶部分など、プレス加工で製造されているものは意外と身近なものが多いのです。
プレス加工のメリット・デメリット
メリット
一度金型を作ってしまえば、あとは同じ形状の部品をいくつでも量産出来るので、大量生産が出来ます。
プレス加工の強みとして半自動で生産が可能なので、常に安定した品質で仕上げられます。生産スピードに優れていて、一定の品質で大量生産出来るのは、プレス加工のメリットです。
デメリット
最初に金型製作や設備投資に費用がかかるため、始める前の準備にコストや期間がかかるのがデメリットです。一度金型を作ってしまうと変更が難しく、製品に変更があれば再度金型を作り直すことになります。
稼働してしまえばスピーディーに大量生産できるが、稼働するまでに時間とお金がかかります。
プレス加工で使用されている金属
プレス加工は様々な製品の加工に適しています。プレス加工は金型を使い、金属板を曲げたり切断したり絞り加工を行います。使用される金属も幅広く「鋼」「真鍮」「アルミ」などで加工する事が可能です。
実際にプレス加工で使用される金属を詳しく説明致します。
鉄鋼
まず鉄鋼ですが、どの鉄鋼を使うかは部品の使い道によって変わってきます。最終的に熱処理を行って強度を出す事が可能なので、後処理によっても使用される鉄鋼は変わり、必要な強度に合った鋼材を使います。
アルミ合金
アルミ合金は表面処理も容易にできますし、電気を良く通すという特性があり部品が軽いというメリットがあります。軽量化だけが目的ではない場合は、通電性に富んでいるとか錆びにくいといった特性にも注目です。
まとめ
今回は、プレス加工についての種類やメリットとデメリットの紹介を致しました。
プレス加工は、日常生活で使用する様々な製品に関わる加工法です。目的によっては、加工法や使用する
金型が変わってきます。そのため様々な種類がある中、希望する金属加工に適した方法を選ぶ必要があります。
第一金属工業では深絞りの技術を使った金属加工で、乾電池用の円筒管を製造しております。
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