乾電池の誕生と歴史を解説✨

近年、乾電池は進化を続けており、電源の確保としてさまざまな用途で利用されています。そんな日常生活で使用する機会が多い乾電池ですが、歴史を詳しく知る人は多くないでしょう。
現代の生活に不可欠な電池が生まれた背景には、沢山の学者が開発し続けてきた様々な歴史がありました。

そこで、今回は乾電池の『歴史』についてまとめました!

 

世界最古の電池

約2000年以上前のイラクの首都バグダッドの遺跡から電池と思われるつぼ型の遺物が見つかりました。これが世界最古の電池と言われている「バグダッド電池」です。

素焼きの小さなつぼの中に円筒形の銅筒が入っていて、その中心に金属と電解液が入っており、電気を取り出すという構造で、基本的な仕組みは現代の電池と変わりません。
遺跡から発見されたので、どのような用途で使われていたのかなどはっきりとは分かっていないが、電解液は紀元前でも容易に入手が可能であった酢・酒(ブドウ酒)などが使われていたと考えられています。

 

 

カエルの筋肉よる電気現象から電池は始まった?!

電池の起源と言われているのが、生物の実験でカエルの神経・筋肉に電流を流して動かす実験です。
1780年頃、イタリアの生物学者であるガルバーニが、カエルの足に鉄の柵と電解液を使用し、電流によって足が動く様子を観察した結果、神経にメスで触れると、カエルの脚が痙攣することに気づきました。これを動物が生み出す電気と考え、動物電気(ガルバーニ電気)と名づけました。

この発見に強い関心をもったのがイタリアの物理学者、ボルタです。静電気を集める「電気盆」を考案していたボルタは、ガルバーニ電気は生物体に関係なく、2種類の金属の接触で電流が発生したことを示し、「ボルタ電池(電堆)」が発明されました。これは銅、すず、食塩水を使って化学反応から電気を取り出すというものでした。

こうして、はじめて持続的に流れる電気=電流が利用できるようになり、その後の電気の解明に大きく貢献しました。ちなみに現在でも使われている電圧の単位「ボルト」は、ボルタの名前からとったものです。

 

次々と発明される電池

ガルバーニの実験をヒントにして生まれたボルタ電池ですが、発電力が弱く、すぐに電流が急激に弱まる欠点がありました。正極で水素が発生しその泡が電極の周囲集まってしまい、電子の受け渡しにトラブルが起き、電圧が急激に低下する「分極」という現象が生じたのです。
ですが、1836年にイギリスの化学者・物理学者のジョン・フレデリック・ダニエルが、「ダニエル電池」を発明しました。これは、ボルタ電池の問題点を改善することによって作られた世界初の実用的な電池です。ダニエル電池は正極側と負極側で異なった電解液が用いられているのですが、素焼きの板で両電解液が仕切られていることが特徴です。

ダニエル電池の発明から約30年後、フランス人の技術者、ジョルジュ・ルクランシェが「ルクランシェ電池」を発明し、現在の乾電池の母体となるものでした。液体を使わないため、持ち運びが容易になったルクランシェ電池ですが、この頃の電池は電解液が漏れ出てしまう不便さがありました。
その後、1888年にドイツ人のカール・ガスナーは電解液を石膏で固めた電池を発明しました。
液を固めたことで水分はあってもこぼれない乾いた電池という意味で「乾電池」と呼ばれました。
ちなみに、ガスナーが発明した頃と同時期に日本人の屋井先蔵も独自の方法で乾電池を作り上げていました。

 

カエルの筋肉から始まった電池が、次々と新たな学者が登場し発明を繰り返しながら今の乾電池があると知ると、とても興味深いですね!

次回は、日本人技術者について解説させていただきます!

お楽しみ!

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